東北支援 ふれあいサッカー 球蹴りやろう! 活動報告

2012.07.09球蹴りやろう! Vol.2 in 石巻 2012.5.19

【 二歩目へ 】

東京とは3週間程度の気温のズレがあると聞きました。4月下旬の石巻は予想以上の寒さだったことを強くおぼえています。

球蹴りやろう! Vol.1」を終えてから、参加者の方々へアンケートをとりました。”楽しかった” “もらったボールを毎日蹴っています” “もっとたくさんボールを蹴りたかった” “球蹴りの時間が短かった” など、様々な感想や要望をいただきました。それを受け、今回の「球蹴りやろう! Vol.2」の企画へと進みだしました。

会場に選んだのは、宮城県のもう一つの大きな被災地である「石巻市」です。イベントの開催にあたり、何度も行われた会議の中で、とにかく現地を知らなければいけないということが強く意識されました。そして4月下旬、今回もご協力いただく現地の方々との打合せのため、ついに石巻にうかがうことになりました。

【 体育館 ~ ある事実 ~ 】

IVY石巻事務所 末永さん
IVY石巻事務所 末永さん

ご協力をいただくのは前回に引続いて「IVY」の職員の方です。現地で生まれ育った方で、TTTの活動にも大きく賛同した上で現地でのサポートを引き受けてくださいました。

IVY石巻事務所でのご挨拶を終えて、最初に向かったのは会場となる石巻市総合体育館でした。施設は石巻市体育協会が管理しています。TTTから利用申請を受けた際、協会スタッフの方々がイベントの主旨に賛同し、本来はフットサルが禁止されている場所にもかかわらず快く使用を許可してくれました。
打合せではイベントの説明や施設内の下見をしましたが、お話の中でTTTメンバーはある事実を知りました。

石巻市総合体育館は震災直後、避難所として使用されるはずでした。ですが、天井や照明が落ちる等の危険性から使用できず、犠牲者の遺体安置所となっていました。当時は最大で300体もの遺体を安置し、体育館を埋め尽くすほどだったそうです。

石巻での打ち合わせ

石巻での打ち合わせ

会場視察を終え、外を歩くと津波の爪痕がまだはっきりと残っています。今にも崩れそうな壊れかけの家屋や営業のできなくなった店舗が当時を物語ります。あの日あの場所にいなかった自分たちに少しでも何かを伝えようとするかのような光景に、こちらもそれを受け止めようとしっかりと目を凝らして向かい合いました。

【 出逢い 】

そば処もりやさんでカレー蕎麦に舌鼓
「そば処もりや」さんでカレーそばに舌鼓

昼食のために入ったのは「お蕎麦屋さん」でした。お蕎麦の味もさることながら、お店の方のキャラクターに移動の疲れも寒さも消えてしまうような温かさを感じました。“カレーそばに半ライスをつけるとおいしいよ!”おばちゃんのそんな一言でまんまと半ライスを注文したメンバーへ「してやったり」と笑顔のおばちゃん。ほんわかな光景に自然と表情も緩みます。

そんなぬくもりをお土産にもらった一同は、石巻小学校へと向かいました。教頭先生から、短い時間でしたが子供たちの現状についてお聞きすることができました。子供たちを対象とするイベントを行うにあたり、現地の小学校の先生とお話できたことはとても貴重なことだったように思います。

下見の中で最後にお会いしたのは、石巻市のサッカーチーム「開北FC」の代表の方でした。震災後、石巻市でも多くのイベントが行われました。Jリーグチーム主催のサッカースクールやTTTのような団体のイベント等々、多種多様なものがあったようです。ですが、ただ告知をするだけでは参加者(とくに保護者)が集まらないのではないかという忠告をいただきました。そして、そのような場合にはご協力をお願いする旨も伝えました。
チーム活動の状況についてもお聞きしました。状況はやはり震災前よりは悪いものでした。練習場所がなく毎週遠征に行っているが、バスが1台しかなく小学生と中学生で交互に使っているそうです。バスが使えないときの送迎は当然、保護者が行います。また、チームで使用していた人工芝のグラウンドは体育館と同様に遺体の仮埋葬地となっていました。現在は修復中とのことで使用できるまでに1年はかかるそうです。多目的グラウンドのような広い場所は自衛隊のキャンプが入り車両の出入りがありました。こちらも修復工事が完了するまでには時間がかかります。

どこも震災以前は当たり前のように使えていた場所でした。それが今は使いたくても使えない状態なのです。

視察時の石巻の様子

視察時の石巻の様子

最後に宿泊場所となる「復興民泊」へと足を運びました。復興民泊とは、街中の使われていないスペースを利用し、ボランティアや石巻を訪れた人々の宿泊場所として使われている場所です。管理運営は石巻2.0が行っています。その石巻2.0の方に案内していただき、お借りする2部屋を見せていただきました。

実際に現地に行き、そこでしか出逢えなかった事実を胸に一同は東京へと戻りました。

【 石巻へ 】

「球蹴りやろうVol.1」では30人の募集に対し、50人の参加がありました。今回はより広い会場であることと、よりふれあえるために定員50組(子供+保護者)で募集をかけることにしました。
募集用のチラシ作成、ホームページの更新、イベント内容の精査。TTTメンバーの繋がりからご協力いただいた現地の方によるチラシ配布と呼びかけ。それぞれが仕事をしながら空いた時間にイベントのために協力していきます。そして、あっという間にイベント本番を迎えます。

5月18日 23時30分。TTTメンバーは新宿に集合し、石巻へ向けて出発しました。集合前にはイベントで使う備品をそれぞれの場所からお借りしてきました。今回の移動はマイクロバスとハイエース1台です。バスは運転手の方もお願いしていたので、メンバー全員が、明日のイベントに向けてリラックスしながら移動することができました。

5月19日 7:00。IVY石巻事務所へ到着しました。予定より早く到着したこともあり、何人かのメンバーは近くを歩いてまわりました。その中で、ある女性に出会い、お話を聞くことができました。震災当時の状況を語り涙する女性の姿から、自分たちがどこへ来たのかをあらためて認識しました。

8:00。TTTメンバーと IVY石巻事務所の方で全体ミーティングです。ご挨拶程度のものでしたが、イベントへ向けて全員が気持ちを一つにしました。ミーティング後に子供たちへの贈り物や名札の準備、内容の細かな打合せを行い、昼食会場へと向かいました。
もちろん昼食はお蕎麦屋さんです。温かいカレーそばと温かいお店の方々とのふれあいに緊張と不安も和らぎ、いよいよイベント会場へと向かう時間になりました。

12:00。石巻市総合体育館へ到着です。体育協会の方へのご挨拶をすませ、荷物の搬入や会場設営と急に慌ただしくなったTTTメンバーの動きに、お蕎麦屋さんでほぐれたはずの緊張感が戻ってきます。控え室でもう一度円陣を組み、かけ声をかけました。

「さぁ、楽しもう!!」TTT の合い言葉です。

本番前に円陣を組むメンバー

本番前に円陣を組むメンバー

【 いよいよ本番 〜 スマイル!オー!! 〜 】

13:00。受付開始。体育館入り口に設置した受付で名前の確認とビブスの配布をします。受付の終わった子供には、ナップサックと水(500ml)のプレゼントを渡して誘導係が会場へと案内します。今回の会場は2階に観覧席があったため、そちらで応援する保護者もいました。

受付開始!子供達が集まってきました

受付開始!子供達が集まってきました

実は、TTTメンバーがこの時まで持っていた不安があります。果たして当日に参加者が来てくれるのかという大きな不安でした。5月の連休以降、体育協会やサッカー協会のご好意で各スポーツ少年団に声をかけてもらいました。また、地元の「日々新聞」に記事を掲載したり、既に一度チラシを配布した場所へ再度の呼びかけも行いました。現地の方々の大きな協力によって、あの手この手で募集をかけていたのです。
受付終了後、当日の飛入り参加を含め、会場には総勢41組の参加者が集まりました。TTTメンバーと現地の方々との力が合わさり、大きな大きな不安を消し去ることができたのでした。

会場はまだ開始前にもかかわらず、参加者もスタッフも大はしゃぎです。キックターゲットに夢中な子供たちがいれば、真剣に練習している組もあり、すでに汗をかいているスタッフもいました。駐車場の関係で会場入りが遅れる参加者のために、開始時間を10分程度遅らせました。

13:40。「あつまれぇ〜〜!!」の合図でいよいよイベント開始です。学年ごとに整列して全体説明をした後はまず、全員でウォーミングアップを始めました。内容はジョギングをしながら腕をまわしたりスキップをしたりと体を動かしてから、ストレッチを行いました。これで準備万端です。

まずはウォーミングアップ

まずはウォーミングアップ

最初のメニューは鬼ごっこ(手つなぎ氷鬼)です。気仙沼でも大人気だったメニューです。鬼ごっこは全員参加です。子供も大人も一生懸命に走ります。もちろん鬼だって必死です。2回戦目には覆面を被った鬼が登場。これには子供たちもさらに本気になり、会場が一気に盛り上がりを見せた瞬間でした。

手をつないで鬼ごっこ

手をつないで鬼ごっこ

続いてのメニューはボール集めゲームです。中央に置かれたボールをチームに分かれて取り合うゲームです。各チームとも必死にボールを取り合い、待っている仲間は応援に声をからしていました。ゲームの3回戦目には、TTTメンバーの中から元プロ選手の2人が子供たちの邪魔をしてさらに盛り上げました。

ゲームで盛り上がった後はシュート練習です。広い会場を存分に生かし、4カ所に分かれて行いました。練習は2種類で、センタリングシュートと1対1からのシュートです。低学年側はセンタリングシュートが難しいと見えたので、ポストシュートへ切り替えて行いました。4カ所でできたこととボールが十分に準備できたことで参加者一人一人がたくさんボールに触れることができました。また、保護者の方々もポスト役やパス出し役として積極的に参加してくださり、未経験者も少なくないTTTスタッフはとても助かりました。

シュート練習 みんななかなか上手です

シュート練習 みんななかなか上手です

この時点でイベントも中盤に入ります。少しの休憩をはさみ、リフティング教室の時間になりました。後に参加者からの感想で面白かったという声がとても多かったメニューです。最初に元プロの2人が華麗な技を披露します。1つの技が決まる度に歓声と拍手がおこり、たまの失敗にはブーイングもおこります(笑)。サッカーの経験に関わらず、子供たち全員の目が輝いていました。さあ、次はみんなで練習です。スタッフのアドバイスを受けながら、用意された3種類の技を一生懸命に練習します。できなくても諦めない、子供たちの姿に心打たれ、指導にも自然と熱が入ります。

リフティング教室

リフティング教室 子供たちも真剣に練習 / 技が決まると歓声があがります

リフティング教室の最後には、参加者の何名かに練習の成果を発表してもらいました。恥ずかしがって手が挙がらない中、最初の挑戦者はある保護者の方でした。技は見事に成功。大きな拍手が起こりました。続いては2年生の男の子。味のあるキャラクターで場を盛り上げます。大トリは4年生の男の子でした。スタッフと一緒にヒールリフトをきれいに決めてくれました。大いに盛り上がったリフティング教室はここで終了です。

さて、残すメニューはあと一つ。「ゲーム(試合)」です。やはりサッカー、フットサルといえば試合が一番楽しいのでしょう。参加者全員が、もっともイキイキとしていました。今回は試合の待ち時間でも球蹴りができるようにキックターゲットと広場を用意しました。キックターゲットでは点数に応じて飴をプレゼント。たくさん稼ぐ子やもらえなくて悔しがる子など、ここでも様々な表情を見せてくれました。

肝心のゲームでは子供・保護者・スタッフと全員が参加し、全力で楽しんでいました。元プロのスタッフに助っ人を懇願するチームもあり、「勝ちたい」という強い気持ちを感じることができました。

チームに分かれてのゲーム

チームに分かれてのゲーム

16:00。最後のゲームが終了すると同時に全てのメニューが終わりました。もう一度、全員集合。子供たちへの贈り物を渡します。贈り物は、サッカーボール(4号球)とJリーグ選手のサインです。どちらもイベントの主旨に賛同していただいた方々から子供たちへと頂いたものです。

「プレゼント欲しいひと〜?」「はーーい!!!」

「プレゼント欲しいひと〜?」「はーーい!!!」

プレゼントはサッカーボールとJリーグ選手のサイン

プレゼントはサッカーボールとJリーグ選手のサイン

贈り物を渡し終えたら閉会の挨拶です。

「みんな、遊んでくれてありがとう!」

そう締めくくるとあたたかい拍手で応えてくれました。終了後、15分程度の時間をとり、それぞれが思い思いにコミュニケーションをとることにしました。子供たちは元プロへのサインのおねだり、女性スタッフは保護者の方と談笑、元気なスタッフは子供たちと球蹴りを続けました。偶然にもこの日、石巻市長がお見えになりTTT代表とご挨拶をさせていただきました。

16:30。お見送りの時間です。

「さようなら」ではなく「またね」と言う。

「家に帰ったらサッカーするんだ」と笑顔で話す女の子がいれば、もらったボールを蹴り始めている男の子もいました。あの子はどうやらリフティングの練習をしていたようです。

「一緒に笑い合えたら」 TTT最大のテーマは第一回に続いて無事に達成できたのではないでしょうか。

20:00。イベントを終え銭湯で汗を流した後、現地スタッフの方々との懇親会が行われました。長時間の移動とイベントの疲れ、無事に終えた安堵感からお酒も進みます。途中、第一回イベントの際にお世話になったIVY気仙沼の方々も加わり、とても楽しい時間を過ごすことができました。多少、はしゃぎ過ぎたかな?という反省をしつつ、現地の方々との貴重な時間を過ごせたことには本当に感謝しております。

子供達の笑顔1

子供もメンバーも楽しそう

子供達の笑顔2

エントランスでお見送り

【 変化 〜 心に響いた何か 〜 】

5月20日。復興民泊での夜は寝心地の良い布団で熟睡でき、目覚めも清々しいものでした。時間は9:00。この日も天気に恵まれ、目覚ましがわりの散歩をしながらIVY石巻事務所へ集合します。

午前中はIVY石巻事務所の方の案内のもと現地を見て回りました。出発前に伝えられた客観的事実(地域ごとの犠牲者数)が予想以上に胸に響いたのは、それを現地の方から聞かされたからでしょうか。今回、新たに参加したメンバーは震災後に東北を訪れることも初めてでした。一年という時間が経過しているのに残されたままの津波の爪痕とその中で明るく温かく自分たちを迎えてくれた現地の方々。何より前日に出会ったたくさんの笑顔が、自分たちに何を教えてくれたのか。

石巻2.0事務所の向かいにある店舗にはこんな言葉が書かれていました。

「全国のみなさん 本当にありがとうね 石巻人も頑張ります」

ボランティアの方々や支援への感謝の言葉は石巻のあちこちに見られました。はっきりとした形は見えずとも確実に変化しているのです。

感じ取った「何か」はメンバーそれぞれが違うのだと思います。一人一人が手に入れたその何かをしっかりと胸に抱き、12:00、石巻を後にしました。

東京に着くまでのバスの中はメンバーのほとんどが熟睡していたようです。目が覚めると見慣れた景色。4月下旬の時に感じた程の気温の差はそれほど感じませんでした。ただ、見慣れたはずの景色に違和感が生まれたのは、自分たちの心に変化が起きたからでしょうか。

【 これから 】

「球蹴りやろうVol.2」。このイベントの開催にあたり、前回以上にたくさんの大きなご協力を頂きました。“自分たちだけでやっているのではない”ことを強く感じています。
ご協力頂いた方々には、メンバー一同、本当に心より感謝しております。

東京へ戻ってから、イベント参加者へのアンケートを行いました。自分たちの手応え以上に「楽しかった」「またやってほしい」という感想を頂きました。
TTTメンバーもまた現地へ行って、たくさんの笑顔に出会いたいと考えています。

様々な動きのある中、子供たちの遊び場はまだまだ少ないのが現状です。サッカーチームの練習状況が以前の状態にまで戻っていないことも事実です。大人たちにもストレスが溜まっていることも本当です。

TTTは「遊び場を作ること」を目標にして歩き出そうと思います。

今後も活動にご賛同頂ける皆様方のご支援・ご協力をなにとぞよろしくお願い申し上げます。

文 おの 

「全国のみなさん 本当にありがとね 石巻人も頑張ります」

—————— special thanks ——————

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